アキレス腱断裂(あきれすけんだんれつ)
- ■症状
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受傷時はボールが当たった感じなどの衝撃を感じたり、断裂した音がします。受傷後は転倒したり歩行困難になります。
- ■原因と病態
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アキレス腱は足のかかとの上にある大きな腱のことで、足関節を伸ばすはたらきをしています。そしてアキレス腱断裂とは、アキレス腱が切れてしまった状態のことを言います。病型は新鮮断裂、陳旧性断裂、皮下断裂、解放性断裂、完全断裂、不完全断裂に分類されます。
アキレス腱断裂は中高年のスポーツの際に発生することが多く、その際の主な原因としては直接的な腱への外力、腱を無理に伸ばそうとする力、腓腹筋の強い自動収縮があげられます。急に走る、ジャンプするなどアキレス腱に負荷をかけてしまうことで、バシッ、などと言う音がして腱が切れてしまいます。また、アキレス腱に違和感を感じていながらスポーツを続行し腱を痛めてしまう例もあります。
アキレス腱断裂の症状としてはつま先を伸ばすことが出来なくなり、多くの場合は歩行不可能になります。また、アキレス腱に触れると途中でくぼんでおり押すと痛みがでます。
- ■予防と治療
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アキレス腱断裂の治療法には、手術を行わず、ギプスや足を固定する器具を用いて治療をする保存治療と、断裂したアキレス腱を手術によって直接縫合する手術治療があります。
保存治療は、足部の皮膚に痕が残りません。しかし、手術治療のように、断裂した腱を縫合するわけでなく、自然に治るのを待つので、治療に要する時間がやや長くなります。どうしても早く治したいという方には、手術治療をお勧めします。
治療開始後、4ヶ月程で軽い運動が可能となりますが、無理に動いて再び腱が断裂することがあるので、スポーツ復帰には半年以上を必要とします。
足関節捻挫(そくかんせつねんざ)
- ■症状
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外くるぶしの前や下に痛みがあり、腫れます。
- ■原因と病態
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足関節捻挫とは、スポーツのほかに歩行時でも段差などで、足の関節をひねった場合など主に足関節外側の靭帯が損傷することによって発生します。捻挫の程度により、1度の捻挫は靭帯が伸びる、2度は靭帯の一部が切れる、3度は靭帯が完全に切れると定義されています。
- ■予防と治療
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捻挫してしまったら足をできるだけ安静に保つ事が重要です。また、このようなことが起きないようにするためには、周囲の状況などに気を付ける必要があります。雨や雪などによって道路の状態が悪い場合に発生する傾向が強くあります。このため、これらの状況などをよく把握し、安全に歩行することが重要です。
足関節捻挫のほとんどは足首を内側に捻り体重が足の甲の外側にかかった時に発生します。急性外傷の中でも頻度が高く、患者の多くはジャンプする事の多いスポーツをするアスリート選手や高いヒールを履く女性です。靭帯が伸びたり一部切れたりしたものは応急処置を行います。応急処置はまず、安静にし、コールドスプレーや冷水や氷嚢で冷やし、患部を圧迫、動かさないように固定し、椅子などの上に挙上しておきます。この処置を英語の頭文字をとってRICE処置といいます。
治療法は、軽度であればテーピングや包帯で1週間から2週間ほど固定します。靭帯が完全に切れる3度の場合は、ギプスを用いて2〜3週間ほど固定することもあります。その後地面についても痛みが無いほど回復したらリハビリを行い足首の周囲の筋肉を鍛えます。
捻挫は放置しておくと症状が慢性化し後遺症を残すことがあり、時に骨折を合併していることもあるので、早めに整形外科医の診察を受けることをお勧めします。
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
- ■症状
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足の裏に痛みが生じます。特に朝起き上がる時に痛みが増し、日中は軽減され、運動すると再び痛みが増強します。
- ■原因と病態
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足底筋膜炎とは足の裏の炎症により踵や土踏まずに痛みが生じる病気です。原因は合わない靴・ハードな運動・長時間の立ち仕事など様々です。スポーツなどで急激なストップダッシュを繰り返すなど、踵を上げたとき足底筋膜の緊張が最大になったとき生じたりします。足底腱膜という踵から指の付け根あたりまでにある腱様組織が炎症し、細かな断裂を起こすため痛みが生じるようになります。
症状は、踵または土踏まずが痛い、起床時に歩こうとすると痛みを感じる、歩いているうちに痛みが引く、などがあります。睡眠時には腱膜への負担がなくなり、断裂部分が修復されていきます。しかし、起床し立ち上がるとまた断裂が起こり痛みが生じます。断裂後は痛みが無くなるため、しばらく歩いていると痛みが引いていくのです。慢性化すると普段の歩行中にも痛みが生じるようになってきます。
また女性に多いのが土踏まずの痛みです。ストレスによる女性ホルモンの乱れが原因の場合が多く、出産や更年期などがきっかけになることがあります。
近年のマラソンブームによる過度な運動による症状も増加してきています。 - ■予防と治療
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足底筋膜炎の治療法は何種類かあります。大抵の人は、3ヶ月から3年の間で自然治癒するので、ストレッチを施しながら自然治癒に任せるのが普通です。
非ステロイド系抗炎症剤の湿布や痛み止めの薬を服用する場合もありますが、それほど効果的ではありません。また、ステロイド注射という方法もあります。効き目は3~4週間で、一時的には痛みは無くなりますが、ステロイドの効果が切れるとまた痛みが戻ってしまうこともあります。
中でも「アーチサポート」という中敷を使用するのが、効果的と言われています。市販もされているので、一番手軽です。靴に入れるなどして、足の裏にフィットさせて使います。これは、足のアーチを補強させる役割を持っていて、負担をできるだけかけないように気をつければ、3~4週間程度で効果が現れます。最も、運動が原因であれば、その運動を止め、安静にすることが一番です。
外反母趾(がいはんぼし)
- ■症状
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足の親指の先が人差し指のほうに曲がり、つけ根の関節の突き出た所が痛みます。ひどくなると靴を履いても痛むようになります。
- ■原因と病態
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親指の付け根の関節が「くの字」のように外側に出るので、その部分が靴にあたってしまい痛みや腫れを伴います。外反母趾になる原因として以下の3つが挙げられます。
まず1つ目に「歩き方」です。指を使わずに歩くと指まわりの筋肉が退化してしまい、外反母趾が進行してしまいます。2つ目は「靴の種類」です。つま先が細くヒールも高いパンプス等の靴や、つま先の幅が広く、靴底が平らなサンダルでは指に力が入らず、結果的に指の筋肉が退化してしまうわけです。3つ目に「運動不足」です。日頃運動をしないと足指まわりの筋肉が衰えてきます。例え、靴を変えても指の筋肉を発達させなければ外反母趾の進行が高まる可能性があるのです。
- ■予防と治療
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足趾が動かせるような形で、足が靴の中で前にずれない構造の靴を選択し、ヒールは3cm以下にします。
母趾のストレッチや足趾を広げる体操も有効です。装具療法により痛みの改善がみられます。
外反母趾は軽度の場合は保存療法でよくなりますが、痛みが強く歩行障害がある場合は手術を行うことがあります。
モートン氏病
- ■症状
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足の指の間にしびれや疼痛、灼熱痛などの神経症状が現れます。また痛みが強い時もあり膝までに及ぶこともあります。
- ■原因と病態
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モートン氏病とは足の裏にしびれや痛みを感じる病気です。症状の特徴としては第2〜3趾間と第3〜4趾間に発症することが多く、歩行時のしびれや疼痛、灼熱感として自覚されます。もちろん他の足趾の間でも症状が出ることがあります。このように二本の足趾にまたがって発症することも特徴の一つです。
多くは滑液包と呼ばれるクッションが度重なる刺激によって炎症を起こし、指の神経を圧迫してしまうことで腫れやしびれが出るという原因があります。中腰状態やハイヒールを履くなど、つま先立ちをする格好が長時間続くと起こりやすいです。足の裏はアーチ状になっているため、地面につく度に衝撃を吸収します。例えば横幅の狭い靴ではそのアーチが狭まり、指神経が圧迫されやすくなります。
- ■予防と治療
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治療法としては、局所を安静にし、薬の内服や注射、運動療法などで治療をします。原因が靴にあれば、その原因となっている靴を履かないようにして様子をみます。それで改善されない場合は、足底板療法を行います。
横のアーチを支える底板を用いて、体重が神経腫のあるところにかからないようにします。この板がずれないように、パットを靴に張り付けたりします。最近では、市販のパットも売られています。アーチをキープするためには、足じゃんけんやビー玉のような小さな物を拾うなど、指を開いたり閉じたりする運動を行います。
それでも改善されないときは、神経剥離術ないし神経腫切除術を行います。